【考察】日本の廃墟の成り立ち:国家的なエネルギー爆発と衰退

廃墟

こんにちは、ねこじまです。

幻想的で、なぜか懐かしく感じる廃墟。人々の記憶から忘れ去られて、今日も街の外れで朽ちていく…。

そんな日本の廃墟ですが、近年は「ハイキョ(Haikyo)」として世界的に注目を集めているのをご存じでしょうか。

ねこじま
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今回は、日本的Haikyoの成り立ちと特徴について説明していくよ!少々マニアックな内容になっているよ。

廃墟の成り立ち:日本と世界

廃墟とは、適切な維持管理が行われないまま放置された、建造物や施設の総称です。

そしてその主な成り立ちは、以下4つになります。

【廃墟が生まれる理由】
・跡地利用が難しく、維持管理も困難
・管理者が失踪
・建設を発注した企業が倒産
・公共事業が途中で中止される(建設中のまま放置)

しかし、よりマクロな視点で見てみると、日本の廃墟は世界的にも珍しい特徴を持っています。

ねこじま
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なんだって!?

世界で見る廃墟の生まれ方:戦争や自然災害

話を少し大きくして、世界レベルで見ていきましょう。

廃墟は、その生まれ方によって4つのカテゴリーに細分化することができます。

【廃墟の種類(生まれ方)】
①戦災による廃墟
②エネルギーと産業を巡る廃墟
③都市と経済を巡る廃墟
④自然災害による廃墟
引用:世界の廃墟

戦争の結果、空爆によって荒らされてしまったシリアの町。
原子力事故の象徴となった、チェルノブイリ。
経済発展と衰退を象徴する、ソ連の建造物。
さらにはスマトラ沖地震で破壊された民家の数々。

世界には様々な廃墟が、様々な原因で生まれていますね。

では、日本という国はどうでしょう?

太平洋戦争、富国強兵策、バブル崩壊、大震災。
なんと、すべてがこの100年以内に起きています。

そう、実は日本は「廃墟先進国」と呼ばれるほど、廃墟が多く、その種類も豊富なのです。

さらに、そんな中でも日本では「②エネルギーと産業を巡る廃墟」と「③都市と経済を巡る廃墟」の2つが多く存在しています。

日本で見る廃墟の生まれ方:国家的エネルギーの爆発

戦争、産業化、経済発展、自然災害。

廃墟の生まれる理由は様々ですが、写真家の佐藤健寿さんは下記の共通点を見出しています。

これはあくまでの僕の分析ですけど、世界中の廃墟を見ていくと、原因はもちろん色々なんですが、ある瞬間に過剰にエネルギーを注がれてできあがったものが、一気に崩壊して生まれているパターンは多いと思います。
引用:vol. 2 日本が「廃墟先進国」になった理由

過剰なエネルギーを注がれた建築が、一気に崩壊して生まれるのが廃墟。

そんなエネルギー爆発ともいえるような出来事が、実は日本史には2回起きています。

一つは、19世紀の富国強兵政策。そしてもう一つは、20世紀の高度経済成長。

【日本の廃墟を生み出した運動】
 富国強兵政策(明治時代)
 高度経済成長(昭和~平成初期)

前者においては、国力強化を図るべく日本に数多くの炭鉱、鉄道、工場が生まれました。

これらを代表する廃墟が栃木の足尾銅山だったり、北海道にある三菱の大夕張鉄道線だったりします。

 

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ねこじま
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ただししばらくして、戦争やエネルギー革命によって使われなくなってしまった。「②エネルギーと産業を巡る廃墟」に該当するね!

そして後者においては、バブル経済を象徴するような宿泊施設やレジャー施設が日本中に建設されました。

有名なものをいえば鬼怒川温泉廃墟群、そして化女沼レジャーランド。東京にある名もなき廃ラブホテルなんかもこちらに該当します。

 

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ねこじま
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そしてバブルが弾けて廃墟に…。こっちは「③都市と経済を巡る廃墟」だね!

廃墟先進国の日本が発信する「Haikyo」

上述した内容をもう一度おさらいしましょう。

 廃墟とは戦争、産業化、経済発展、自然災害の4つのいずれかから生まれる
 日本は上記すべての特徴を持った廃墟を持っている
 その多くは、富国強兵政策と高度経済成長のエネルギー爆発によって誕生している

もちろん、他の国でも産業化もしくは都市計画の過程で生まれてしまった廃墟は数多く存在しますが、日本ほどそれが新しく、なおかつ顕著に表れている国は珍しいです。

そう、つまり日本の「Haikyo」とは世界の「Ruins」の中でも独特な歴史を背負った、きわめて日本固有の特徴を持っているのです。

それぞれの国が、それぞれの理由で廃墟を持っている。いわれてみれば当たり前です。

でも、日本はそれが特に顕著であり、世界的に見ても大きな価値を持っているのです。

ねこじま
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「Haikyo」を求めて外国からはるばる訪れる観光客も多いんだよ!

写真家のJordy Meowが提唱する「Haikyo」という概念

そんな中で、廃墟の英訳は「Ruins(遺跡)」や「Abandoned Places(放置された場所)」とされがち。でも、やっぱり厳密にいうとやっぱり少し違う。

ねこじま
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日本の廃墟を英語で伝えるには何がベストなんだろう?

そんな問いに対して、フランス人写真家のJordy Meowが「Haikyo」という言葉を提唱しています。

Haikyo simply means ruins in Japanese. But haikyo also describes the Japanese version of the hobby known as urban exploration. Haikyoists visit abandoned towns, houses, hospitals, schools, industrial sites, theme parks, and virtually any forgotten or abandoned place.

「Haikyo」とは日本語でいうruinsのことを指します。しかし、haikyoは日本固有のurban exploration(都市探索)をよく表す言葉でもあります。ハイキョイスト達は廃村、廃屋、廃病院、廃校、さらには工場現場やテーマパークなど、放置もしくは忘れられた場所を探検するのです。
引用:Haikyo: Abandoned Japan, 訳: ねこじま

正直いって、Jordy Meowが日本史を意識した上で「Haikyo」を使っているかは不明です(というかたぶん意識していませんね)。

ただし、将来的に日本の廃墟を世界に発信していくにおいて、世界共通の言葉を提唱するという意味では重要な布石を打っているのではないかと考えます。

ねこじま
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廃墟先進国日本のHaikyoが、どんどん日本、そして世界に知られていくといいね!

廃墟の成り立ち:まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回はかなりマニアックな内容なので、興味を示した方もかなり少ないかもしれません。ねこじま自身もこんな記事書いていいものかと不安なものです。

ただし、廃墟の魅力を発信していく過程で、一度は考えてみるべきものなのかなとも思います。

「廃墟の魅力って退廃的な美しさだけなのかな?」
「もしかして、歴史とか文化とか、そういうストーリー性も含めて魅力なんじゃないかな?」
「というかそもそも、それって日本固有のものだったりするんじゃないかな?」

こんな風に一直線で考える方もなかなかいないかとは思いますが、そういう廃墟マニアが増えてくれることをねこじまは密かに願っています(笑)

ねこじま
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次回は世界の廃墟について「URBEX」という言葉を通して解説していくよ!

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